脇道へ逸れたら

2012.01.07

地図を広げて検討し、脇道へ、逸れる。とたんに道の風情から、ある種よそ行きの観光ムードが剥がれ落ちて、ちょっと荒れ気の舗装からハンドルに振動が伝わってくる。道は緩やかに下りながら、高原の木立と野菜の境目を曲がってゆく。名所にちらほら集まっていた人影も、もはや後方に消え去った。スキー場のゲレンデが草色に萌える山の麓を、私たちはいくらかのアップダウンを繰り返しながらなめてゆく。大地は緩やかにうねり、畑の褐色の土と、野菜の緑の点描と、サイロのある農家の建物などが、絵画的な詩篇のように、視界に点在している。

[参考情報]
酒田・鶴岡周辺のホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/hotel/060000/LRG_061400/

加賀・小松・辰口周辺のホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/hotel/190000/LRG_192600/

赤城温泉の温泉・露天風呂のある宿・ホテル - じゃらん温泉ガイド
http://www.jalan.net/onsen/OSN_50535.html

パターソンの世界だ。タンデムの前席の私は思わずそう独りごちた。イングランドの自転車旅の風景をペン画で描写した画家だ。プランター−パターソンの絵はかみさんも大のお気に入りなので、即合点、である。小さな丘が続き、傍らに叢や木立が続き、道はその間を芸術的な3次曲線で伸びてゆく。道のありようが、風景という立体的な五線紙の上に描かれた譜面のようなものだとしたら、目の前の道の連なりはパンフルートか何かの旋律を、大地の上で奏でているかのようだ。しかし音は何も聞こえない、私たちのタンデムがときおりたてる振動の音や、そろってペダリングを停めたときのフリーホイールの爪の音以外には。やがて道は少し広い町道に出て、凸凹の多かった舗装から解放されるが、ちょっと進んでまた私たちは脇道に逸れてゆく。看板だけの遺跡のところでは、野菜畑の農家の母と娘らしきおふた方が一服しようとしているところで、私たちを見て、ニンマリ。そのちょっと先、右手の畑の中に1本の広葉樹が立っている。辺りを見回せば、そこかしこに、そんな景観があって、広葉樹はヤマナシという樹だということをあとで私たちは知るのだが、それは絵になる景色、フォトジェニックな印象などという域を通り過ぎて、小さな奇蹟のような風景なのだ。その独立樹たちが後に植えられたものか、あるいは開墾に際して残されたものかは知らないけれど、夏の高原の風と光の底で、それらは永遠的な時間への道標のようにすら思えた。




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