ラジオどころかテレビも普及しつくした感のある現在、近畿二府四県と三重県、そして岐阜県の一部や四国、北陸地方西部といった上方流の言葉を喋る地域を除き、おおむね標準語かそれに近い言葉が、多少の訛りは大目にみるとして全国的に話されるようになったものの、でもまだまだ、お年寄りを中心に方言は根強く残っている。北東北や南九州地方がとくに顕著であり、青森県の三世代住宅などでは、爺さま婆さまの会話を若夫婦が聞いても、意味がまったく理解できないことがあるという。山陽地方や九州などでは、それは以前に比べると標準語っぽいにしても、まだ若者から方言を聞くことができる。西日本は東日本ほど東京贔屓ではないようだ。北の津軽弁や気仙沼弁に、南の薩摩弁などは、ほんとうに外国語に思えるほど何を喋っているのかよくわからない方言であるけれど、鈍行旅行は、こういった伝統的というか、今となっては化石的ともいえるような貴重な言葉を耳にできる、現代人、都会人にとっての残された最後のチャンスなのかもしれない。
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