夜の果て

2011.11.27

尻内〜青森。暗いホームの外れで客専のTさんが待っていた。車船連絡の赤帽もすでに乗込みを終わったという。夜を通して北へ走り続けるブルートレインの車内では、渡道の準備が次第に整えられてゆく。遥かなる「みちのく」の旅の果てに北の暁が白い。時刻表には載っていないが清水川では上り〈はつかり〉と行き違いのための運転停車がある。ここで室内灯が一斉につき、アナウンスが乗船の仕度を告げる。青森まであと30分、すぐに用意しないと連絡船に遅れるのだ。

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最果ての車窓を、晩秋の荒涼が包んでいた。汽車は大きなカーブを描いて、鉛色の細波のたつ暗い海のほとりを走った。先行貨物列車の支障で9分遅れて6時19分、青森着。「3便」接続はわずか11分。乗客の80パーセント、320人の渡道者たちは冬支度の身に大きな荷物を抱えて桟橋へと急ぐ。ホーム南端の古い跨線橋から望む第2岸壁の彼方に、津軽丸の太い煙突が霞んでいる。北の流れ星々は一夜の使命を終えて、暁の大気の中に次第にその光を失ってゆく。しかしやがて夜の訪れとともに再び漆黒の闇を彩って流れるであろう、旅人たちが仮寝の夢を結ぶ。「みちのく」の夜空を、津軽丸は静かに岸壁を離れた。6時32分、バック運転のC61・C60形に引かれて〈はくつる〉は引き上げてゆく。薄汚れた車体を最果ての朝霧で洗い落としながら……。




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